4月5日、外国人技能実習機構仙台事務所に対し、組合員である技能実習生らの転職や、機構が労働組合の脱退を示唆した件について、申し入れを行っていました。その様子は過去の記事をお読みください。
その申し入れで求めた回答について、4月12日に回答があり、その内容について、本日4月18日に記者会見にて報告しました。以下に、詳細をお伝えします。
〇4月5日の申し入れ時の機構の対応
この日の面談時、機構はそもそも技能実習生らからの相談を受けて1ヶ月が経過していたにも関わらず、彼女らが働いていた水産加工業者とは連絡をとったことがなく、勤務先ないし監理団体に対する調査を実施していなかったことを認めていました。この時点で、機構は実習生らに対して支援を行っていなかった点で問題でした。そして、当組合は、今回のような不当労働行為になる恐れのある対応をさせないために、実習生らと機構の打ち合わせの際には同席させるよう求めていました。しかし、今後の技能実習生らとのやり取りについては、労働組合をはじめ、当事者以外の同席を認めないと主張していました。これらのことについて抗議を行いつつ、改めて申し入れ書の内容について回答を求めていました。
〇4月12日付けの外国人技能実習機構仙台事務所長からの回答の内容
回答はこちら→外国人技能実習機構からの回答（20220412）。
この回答は、わたしたちの主張に対する誠実な回答とは到底言えないと考えています。まず、未だに転職先が決まっていない技能実習生らの転職支援については、「当事務所が手動して実習先変更の支援に努めます」と主張していますが、そもそも今日まで（4月18日）、外国人技能実習機構から技能実習生らに対し、一切連絡がありません。つまり、単に「支援に努め」ると書面に記載し、実際にはいかなる対応を講じていないにも関わらず、支援する意向があるというメディア向けのアピールでしかない対応です。
また、「お互いに問題がある」と発言し、技能実習生らにいかなる「問題があ」ったのかを問い合わせたことに対する明示的な回答はなく、それ以外の質問については「お答えできない」と主張してます。
そして、「労働組合の脱退」に対する回答も不誠実です。自身が当事者であるにも関わらず、「遺憾」だと言うことは、第三者を装って責任回避に努めているだけでなく、謝罪ですらありません。そもそも、いかなる点が「不適切な対応」だったのかが不明瞭です。また、メールを送付した課長補佐の責任については触れていません。さらに、この件に関して当組合に対する謝罪や補償などについても一切言及がありません。このように、事実や責任関係を曖昧にしたままでは、今後、どのような「指導」や「再発防止」を講じるかが、「遺憾」だということで、問題を収束させようとする意図が感じられます。
「不適切」であることを認めたのであれば、誠意をもって謝罪すべきです。しかし、回答の内容及びその後の機構の行動からは、当組合や組合員である技能実習生に対して誠実に対応していると思えません。私たちは今後も改善を求めて抗議していきます。
〇会見の報告
本日、組合員である技能実習生らとともに記者会見で今回の回答を発表しました。今回も、多くのメディアに注目していただきました。組合員の技能実習生の言葉です。
「私たちは仕事を失って2か月になっている。生活が大変。私たちはまた働きたい」
「OTITからの謝罪しても同じことをし続けるだろう。謝罪はいらないから、行動でそれを証明してほしい」
「私たちのような被害者はたくさんいる。私たちの努力を見てもらいたい。外国人が幸せで働けるようにしていきたい」
会見の様子が報道されました！
ベトナム人実習生に労働組合の脱退促すメール 技能実習機構（NHK 20220418）
〇技能実習制度は廃止すべき
今も多くの実習生が、「現代版奴隷制度」と言われる技能実習制度の下で人権侵害を受けています。そもそも、転職が認められておらず、借金を背負って来日する技能実習生は、世界的には「現代的奴隷制」とみなされています。米国務省の人身売買年次報告書で 2007年以降繰り返し批判されてきた上に、国連自由権規約委員会などからも人権侵害であると勧告をされ続けています。そのなかで、転職ができないがゆえに労働問題が必然と発生しています。直近の厚生労働省の調査「技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況 」においても、受け入れ企業の実に7割で違法残業や低賃金などの労働基準関係法違反が明らかになっており、技能実習生は到底人権が守られた環境で働いているとは言えない状況です。
今回の事案にも表れているように、権利を主張しない「奴隷」であることが求められるような制度はなくしていきましょう。
外国人を奴隷化する技能実習制度の廃止を求めます！
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