私たちが行う「大人食堂」は、組合員やボランティアで運営しています。今回は、参加した組合員(30代、男性、保育士)の感想をご紹介します。
※第7回は本日、10月27日(日)18時から~福祉プラザです。詳細はこちら
以下、組合員の感想========
〇第6回目の大人食堂の状況
先日(9/30)、第6回目となる大人食堂が開催され、私はボランティアとして参加しました。
この日は、季節柄も考え、「仙台芋煮」をメインとし、サイドメニューに練り物の煮物を添えた、和食風となりました。仙台けやきユニオンのボランティアと反貧困宮城ネットワークの学生ボランティアとで協力し、調理を行いました。煮込んでいる間は、芋煮の仙台風と山形風の違いや豚汁との違いについての話題が挙がり、和気藹々と盛り上がりながら、始まりを待ちました。
前回に比べて参加者が増えた今回。15人程度の参加者でした。初めて来る方も多く、少しずつ、情報の拡散状況と浸透率が上がっている感じを受けました。特に、ネットを使った宣伝に手応えを感じました。紙媒体は、特定の場所という条件が、やや作用されます。しかし、電子情報であれば、配布地点に縛られずに、欲している人に、より届きやすい可能性が上がるんでしょうね。活字から遠ざかっている年代にも、気軽に目にしてもらえる効果を実感しました。
〇違法行為の被害にあわなくても貧困な当事者がいる
参加しての一個人の感想としては、これまで私は、困っている人たちは、労働条件や生活環境の部分に問題があり、その点を改善できれば、貧困で悩まずに人間味ある健康的な生活を送れるものだと思い込んでいました。しかし、今回一緒に過ごしたAさんのお話を聞かせていただくと、違法な労働を強いられておらずとも、定められた賃金がそもそも低く、いくら働いて稼いでも、比例して増える所得税と消費する際の税の増額で、貧困を抜け出せない領域に生きている、という嘆きを知りました。
Aさんの仕事では、昇格のポジション=チャンスが少なく、ほぼ収入は一定。その中で、やりくりの工夫はしてきたようでした。しかし、公共料金や税率が上がることで、その工夫にも限界がきているとのこと。工夫といっても、その策の大半は食費からということになるらしいです。15年ほど前からじわじわと苦しさを感じるようになったようで、公共料金の値上げで行き詰まってしまったといっていました。食費は、値下げされる時間帯を狙って買い物に出るとのこと。お弁当を買う時も同様で、さらに少しでも浮かせる額が大きくなるよう、本心では選びたくなくても、より安く値下げされる揚げ物系に、どうしても手が伸びてしまうと話されていましたた。その点で、野菜が多めの大人食堂のメニューは、とてもありがたいと言ってもらえたのはうれしかったです。汁物も、インスタントで済ませてしまうことが多いらしく、あたたかさを感じる味だとも言っていました。
〇手作り料理を食べる中で、コミュニケーションが生まれている
手作りの料理を食べている際、舌で味わったこと、身体が感じ取ったことを、そのまま言葉として伝えてくれます。そんなところを入り口に、ほぐれた雰囲気で日常についての話をしてくれました。出来合いのものと違い、手作りのものには、調理過程のストーリーも生まれます。味の美味しさだけでなく、コミュニケーションの芯にある「心」を、手作りのあたたかい食事を通して、私たちはお伝えしているんだなと思いました。
Aさんは健康の為に、食費に関して、無理し過ぎる切り詰めはされていないようでした。その代わり、趣味にあてるお金や交際費を我慢しているんだと、食事が進み、少し打ち解けた頃、話し始めてくれました。仕事中も、頭の片隅で、どうしてもお金のやりくりを計算せざるを得ない生活。ポイント還元情報や政策の動向に、嫌でも意識が向いてしまう生活。仕事帰りや休日に、仲間や知り合いに一杯誘われても、残高が頭にちらつき、気軽に一杯付き合えないらしいです。趣味も、特別な理由をつけないと、一歩踏み出せず、楽しみがないとのこと。車も持てず、遠出が出来ないことや異性との付き合いも疎遠になっていく影響があると語っていました。そもそも、一人生きていくだけで精一杯過ぎて、所帯を持つ夢など考えられないと、ポロリと弱音も漏らされています。職場の関係も、どんどん人が変わることで続かず、密な人間関係のコミュニティを形成できない、「生きていく為に、横の繋がりを断つしかない。」その一言に私は、孤独のしんどさと、「ひとらしい生き方をしたい」というSOSを、感じ取りました。
〇貧困は労働者の甘えじゃない
先にも述べましたが、Aさんは何もせず甘えて過ごしている訳ではないと思います。収入を増やそうと、残業に取り組み、頑張った時期もあったそうです。しかし、身体への負荷が増える一方で、収入を増やした分、所得税も上がり、Aさんとしてはマイナス面の方が大きく感じてしまい、やめてしまったといいます。また、少しでも得が出るよう、payでの支払いの仕組みについても独学で勉強されてもいました。ただし、個人で得られる情報には限りがあるようで、何か専門的な知識が得られる場があればと、切望されていました。「この状況から抜け出したい。」向上心や意欲のようなものは感じ取りました。
食事を摂っている間の1時間半近く、Aさんとお話をさせてもらいましたが、最後に、食事への感謝を述べてくれて、同時に、「明日(10月1日)からの増税が恐ろしい。これ以上工夫が出来ない。無理。」と、切羽詰まった様子で、胸の内の悲痛な思いを吐き出してくれました。「無理」の一言に、日本社会のシステムの中で生き抜いていく、厳しさと絶望感が滲み出ていました。
私たちは、そんな方の手助けとなるのはもちろん、せめて大人食堂にいるひと時だけは、辛さを忘れてホッとできる時間を過ごしてもらえる、そんな時間と居場所を提供できたらと思いました。
以上=============
仙台けやきユニオンは、ここで紹介されたAさんのような方たちとつながり、支援を行いつつ、一緒にこの貧困な社会を変えるために闘争を行っていきたいと思います。働くきつさや低賃金の問題を現場から改善する闘争と同時に、この社会を変えていくための社会的取り組みを続けていきます。
クラウドファンディングを実施中です。ご支援をお願いします!
仙台けやきユニオンでは現在、「大人食堂」運営のためにクラウドファンディングを実施しています。
「子ども食堂」が全国的に広がっていますが、温かい食事と居場所を必要としているのは子どもたちだけではありません。非正規雇用やブラック企業が拡大するいま、「働いていても食うに困る」大人たちが増えています。彼ら彼女らと食事をともにする「大人食堂」の取り組みを、ぜひ、ご支援・ご拡散をお願いします!
クラウドファンディングの内容は、以下をご覧ください。
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