大手中古車会社のビッグモーターと第2回の団体交渉を開催しました。 責任者は欠席するという不誠実な対応。誠実に向き合ってほしい。

活動報告

6月4日に、ビッグモーターと第2回目の団体交渉を行いました。今回より、E氏の当時の同僚のI氏が新たに組合に加入し申入れを行いました。第1回目では顧問弁護士のほかに幹部職員と元の職場の店長が出席しましたが、今回は両名とも欠席でした。今回代わりに出席したのは、最近店長になったばかりの別の方のみ。その方には何の決定権もなく、労働条件の急な不利益変更が出された2018年11月当時には平社員だった事もあり、当時のことは全くと言っていいほど何も分かりませんでした。さらには会社を代表する意見すら用意しておらず、団体交渉による円滑な解決に向けた建設的な話し合いは、全くと言っていいほど出来ませんでした。今回のビッグモーターのこの対応は非常に不誠実だと言わざるを得ません。

そんな状況での団体交渉でしたが、第2回目の団体交渉の主な論点は下記の通りです。

  1. 営業フロント手当の未払い分の請求について
  2. 労働条件の一方的な不利益変更について
  3. I氏の退職理由が自己都合扱いになっている事について
  4. 携帯電話使用料、親睦会費の返金について
  5. 12月立替支払い分の返金について

下記に詳細を記載致します。

1.営業フロント手当の未払い分の請求について

会社からの通知は「営業フロント手当として5万円支給」と明確に記載がある為、”手当であればまるまる5万円を手当として払うべき”、というのがユニオンの主張です。しかし、会社は一の11600円を固定残業代として支払っており、残業代とされていました。これでは話が違います。E氏もI氏も同じ被害です。

会社は”営業フロント手当として5万円支給”とメールで通知した時点で、それを受け取った従業員が「手当と固定残業代を合わせて5万円増額となると認識するのは明らかだ」と主張し、相変わらず全く非を認めようとしません。「労働契約書に固定残業代の記載があ」り、「「恩給的に新たに月額5万円を上乗せする旨を通知している」ため、この通知を出した担当者は「固定残業代を込みで支払われているのは明らか」と言うのです。しかし、”明らか”だと解釈する合理的根拠は一切なく、それどころか通知のあったメールの文章の中に”手当の中に固定残業代が含まれる”という事すら一言も書かれておりません。その点を追及しても、会社は、従業員が「給与明細の内訳を見て、手当と固定残業代の増加分を合わせて5万円増額となっている事を確認しているはず。そして、それを見て何も言わない時点で承諾していると同じ」と主張します。つまり、労働者が文句を言わなかったからいいでしょ、という態度です。つまり結論として、会社の解釈は合理的根拠に基づかないあまりに身勝手なものであると言えます。「明らか」に内容が分かる通知を行わなかったのは会社の責任です。今後もこの責任を追及していきます。

2.労働条件の一方的な不利益変更について

まずは第1回目の団体交渉についてこちらをご覧下さい。

第2回目の団体交渉でも会社の姿勢は変わらず、一切の非を認めようとはしませんでした。ただし前回と違うのは、「結果的にE氏やI氏が不快な思いをしている事に対して申し訳なかったと思っている。今後は急な配転命令は控える。」という発言があった事です。しかしこれはあくまで「結果的」にそうなったものに対する謝罪と今後の対策を言っているだけであり、決して今回の件について非を認めたわけではありません。その証拠に、下記のような意見の対立が起きています。

《第2回団体交渉における、会社の主張(番号)とユニオンの見解(⇒)》

  1. 引っ越しが伴う配転命令や、給料が下がる配転命令を、事前の打診なく急に行ったことは「配転命令の適合性の観点で有効である」という認識。しかし、直前に行ったこと自体は乱暴だと思う人もいるので、それは申し訳なかったと思う。


⇒直前かどうかだけでなく、給料が下がった件や選択肢がなかったことなどもある。労働者の気持ちを考えれば、あまりに乱暴な人事権の濫用と言わざるを得ない。今後は前もって通達する事を約束するとともに、今回の件についても謝罪を求める。
 2.営業フロント職を全国一斉廃止したにも関わらず、現在も営業フロント職を募集しているのは、呼称は同じでも “新”営業フロントである為。これは以前の営業フロントとは違い、事務的業務に加え車の査定業務も含まれている。
つまり、”呼称は同じでも別物だから問題ない”という事。
ただし、退職した元営業フロント職の人からすると紛らわしい呼称でもある為、会社として求人の内容を精査することや、呼称の変更を検討中である。
 
⇒元から営業フロント職の業務の中に自動車の査定業務は入っている。それは、アシスタントから営業フロントに呼称が変わり、それと同時に営業フロント手当を付加するという通知があった際にも明らかである。つまり、”新”営業フロントなどというものは存在せず、全く合理的な理由がないまま営業フロントの全国一斉廃止を突然行ったことに変わりない。

結局のところ、上記の通り営業フロント職を全国一斉廃止した合理的理由は一つもないのです。これはまるで、経営者や責任者の気まぐれによる人事権の濫用とも取れる内容です。なぜなら、わざわざ営業フロント職を全国一斉廃止した1ヶ月後には営業フロント職の求人募集しているのですから。(6/27現在も継続)

このような合理性のない人事を突然行われる環境で働くのは、労働者にとってはあまりにも安定性を欠いた労働環境と言えます。この度の、労働条件の急な不利益変更の非を認めさせ、安心して長く勤められる労働環境の醸成の為に、引き続き交渉を続けていきます。

3.I氏の退職理由が自己都合扱いになっている件について

※実際にI氏が提出した退職届

E氏は退職前からユニオンに相談しアドバイスを受けていた為、会社都合退職にて退職届を提出する手段を選択出来ましたが、I氏はユニオンの存在を知らず、会社の形式通りの記入方法に従って提出する以外の方法を知る余地はありませんでした。

上記の写真は実際に会社に提出した退職届です。I氏は写真の通り「1.一身上の都合」に○を付けた事で、会社からは自己都合退職として扱われました。しかし、この退職届の形式では”定年による退職”または”結婚による退職”でない限り、「1.一身上の都合」に○を付けざるを得ません。つまり、選択肢全てが自己都合退職になるように出来ているのです。

それにも関わらず、会社はあくまでI氏の自己都合退職であり、本人の意思によって退職したと主張してきました。

この書類のどこに自己都合退職以外の理由を記載する場所があるのでしょうか?

団体交渉の場において、実際の退職届のコピーを提示し、会社都合退職とする場合に書類のどこに記載すればよかったのか説明を求めた所、枠外に記入すればよいという回答でした。

この書類を見る限り、「会社都合の場合は枠外にその旨を記入」など、そのような表記はどこにもありませんし、選択肢を選ぶ以外の記入方法があることを想定出来る訳がありません。これはとても乱暴な回答であり、I氏は大変不快に感じました。

結局のところ、I氏は一身上の都合による退職を「選んだ」のではなく「選ばされた」のです。この退職届の形式では、退職者の意思が反映出来ない事がそもそも問題なのです。

皆様でしたら、この形式の退職届にどのように記入するでしょうか?

ユニオンではこの度の不利益変更はあくまで「会社都合」であり、I氏は本人の意思とは反して退職せざるを得なかった事を会社が認めるよう、引き続き交渉を続けていきます。

4.携帯電話使用料、親睦会費の返金について

E氏の件に加え、I氏の携帯電話使用料、親睦会費についても返金頂く方向で承諾頂きました。

5.12月立替支払い分の返金について

E氏の12月立替払い分が、退職前に申請し稟議が通っているにも関わらず未払いとなっておりました。当時の申請書類のコピーを提出し、詳細について確認頂くこととなりました。その後の回答では、返金されていなかったものに対して、返金するという回答を得ました。

最後に

今回の団体交渉を通してビッグモーターの、従業員にとって悪質な企業体質が明らかになってきています。

例えば、ビッグモーターの経営計画書には下記のような事が書かれています。

『経営方針の執行責任を持つ幹部には、目標達成に必要な部下の生殺与奪権を与える』

『会社と社長の思想は受け入れないが仕事の能力はある。今、すぐ辞めてください。』

『会社と社長の思想は受け入れないし、仕事の能力もない。早く辞めてください。』

つまり、会社や社長や幹部の意向に沿わない社員は、例え能力があっても、辞めるよう求められています。また、この会社は部下の「生殺与奪権」を幹部社員に与えています。そのような経営方針の貫徹が、この度の営業フロント職の急な全国一斉廃止に伴う理不尽な職種転換や退職に追い込んだのでしょう。従業員は「モノ」ではありません。人間です!従業員を大事にしない横暴な行為や、それを良しとする経営方針はあってはなりません。

また、このように従業員を大事にしない会社が、お客様に質の高いサービスが提供出来るわけがありません。同じような被害者が今後増えないようにするためにも、ビッグモーターには非を認めて反省し、経営方針の訂正も含め、労働環境を是正してもらえるように交渉を続けていきます。

応援よろしくお願いします。

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