10月25日、ピザーラの運営会社である「フォーシーズ」と団体交渉を行いました。
Aさんは、スキマバイトアプリを介してピザーラで配達業務を行っていました。しかし、配送途中にバイクで転倒し重い後遺症の残るけがを負ってしまいました。Aさんはもう杖無しで歩くことも、杖を使って10分以上立っていることもできません。将来歩くことができなくなると医師から診断を受けています。それにも関わらず、事故から約7カ月、フォーシーズからは補償どころか謝罪も受けていませんでした。これまで、私たちはAさんに対する謝罪、そして十分な補償を求め、交渉を行ってきました。
これまでの詳細な経緯については、過去のブログをご覧ください。
事故の謝罪と事実認定
今回、これまで団体交渉を拒否してきたフォーシーズが初めて交渉に応じました。
10月25日に行われた団体交渉では、フォーシーズから、業務中に非常に深刻な怪我を負わせてしまったとして謝罪がありました。
これまで、フォーシーズの事故に対する認識すら、Aさんは確認することができていませんでした。
フォーシーズによる謝罪は、7ヶ月間ずっとAさんが求めていたことでした。
フォーシーズ独自の法定外補償
Aさんが事故に対する補償を交渉中に求めたところ、フォーシーズ独自の法定外補償について説明がありました。
フォーシーズが加入している配達員向けの任意保険には、労災保険と範囲が被るという理由で自損事故の補償は含まれていません。
そのため、障害の残るような大きな事故が発生した場合、フォーシーズ独自の法定外補償を行っているとのことでした。
Aさんは事故後に何度もフォーシーズ本社に対して補償を求めてきました。しかし、本社から直接連絡をもらったことはなく、ピザーラ太白店の店長から、ピザーラができることはない、労災でなんとかしてほしいと伝えられていました。二度と本社に連絡するなとすら言われたこともありました。
こうした、後遺障害に対する具体的な補償についてフォーシーズからの提示を得られたのはユニオンでの交渉の成果です。
また、フォーシーズは法定外補償以外に、困窮するAさんへの生活補償の支払いを検討する意向を示しました。
事故店舗でのハウスルールについて
Aさんが働いていた店舗では、配達後に釣り銭の金額が合わないと賠償をさせられるルールがありました。
事前に配達員とスタッフで確認が行われることはなく、Aさんはこのルールに疑問を感じていましたが、次の仕事に入れるか不安に感じ拒否できず、過去に3度賠償をしたことがありました。
フォーシーズは、Aさんが過去に賠償させられた金額を払い戻すことを約束し謝罪しました。
このような釣り銭の賠償は、本社の方針ではなく、店舗独自の「ハウスルール」であったと説明がありましたが、我々はこのような方法がとられている店舗が他にもあるのではないかと考えています。
そのため、フォーシーズに対して、全国店舗での実態調査と、過去に賠償させられた事案があった場合、それを返金することを求めました。
フォーシーズからはこの要求に対して、全国調査を行い、確認がされた場合返金を行うと回答が得られました。
最後に
今回の団体交渉は、事故から7ヶ月間、長い闘いを経てようやく得られた、直接本社のフォーシーズと話し合いができる機会でした。
このような場で、Aさんへの謝罪をついに聞けたこと、そして前向きに補償を検討する意向が確認できたことは、非常に大きな成果です。
Aさんは後遺症により今後働くことができません。収入は労災によるわずかな休業補償のみで、とても厳しい経済状況に置かれています。
Aさんの人生が大きく変わってしまいました。
これからも仙台けやきユニオンは、Aさんに負わせた怪我の責任を求め交渉を続けていきます。
スキマバイトアプリを介した労働では、直接雇用の従業員と異なり、企業に責任を追及しにくい現状があります。Aさんのようにスキマバイトアプリでの勤務中に事故に遭い、十分は補償が得られていない方は、「仙台けやきユニオン」までご相談下さい。
仙台けやきユニオンでは、スキマバイトアプリ利用者にアンケート調査を行っています。数分で終わるアンケートですので、是非ご協力をお願い致します。
アンケートはこちら https://forms.gle/RV8ADXjDirbNyHjq5
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