仙台市のピザーラで働いていたAさんは労働災害に遭いました。しかし会社側の不適切な対応によりケガが悪化し、生活が成り立たなくなりました。そこで仙台けやきユニオンに加入し、ピザーラに責任を求める団体交渉の申し入れを行いました。
もう「ふつう」の仕事はできない
Aさんはスキマバイトアプリ、シェアフルを通してピザーラの配達業務に就いていました。しかし、3か月ほど前、配達中にバイクで転倒して足に後遺症が残るほどの大けがを負ってしまったのです。
事故当日、その日最後の配達を行った際に店長が商品を入れ忘れていたことが分かり、再び店舗に戻りました。再配達をすれば規定の労働時間を超える可能性が高い時間帯でしたが、店長からは再配達に行くように言われました。その再配達中にバイクで転倒してしまったのです。その結果、右足首解放骨折、右肋骨骨折、頸椎捻挫、腰椎捻挫などといった足に後遺症が残るほどの大けがを負ってしまいました。現在は杖をついて自力で立ち上がれるまで回復したものの、数十分間立ち続けることは難しく、もう二度とバイクに乗ることもできません。
たったの三千円?
事故後、ピザーラの店長は見舞金として三千円を払っただけで、その後の労働災害申請の対応は遅れました。労働災害の申請ができたのは事故から2か月後、認定が下りたのは事故から2か月半が経った後でした。更にピザーラが「労災用紙(労災保険給付のための用紙)」にサインしなかったことで整骨院にすぐに通うことができず、ケガが悪化しました。
Aさんは入院中に治療費やライフライン費の請求が来たことで、不安で眠れない日も多かったそうです。労災認定が早く下りていれば、治療に集中できたはずです。Aさんは店長に労災の手続きや会社の保険について何度も確認したり、自分の状況について相談したりしました。しかし店長は店舗の責任者でありながら、自分の決定では何一つ行動を起こさず、本社に逐一確認していました。店長のこのような対応のために、労災申請は遅れてしまいました。Aさんは直接本社とのやりとりを試みますが、本社からは対応を担当している店長に伝えろという旨の返信で、対応を断られてしまいます。その後、店長からは、生活補償も身体の怪我や後遺症補償も会社側では一切できない、それらは全て労災保険で賄えと言われました。また、困った事があるのなら労働組合でなく、労基署に相談しろとも言われました。
店長の対応が機械的で、まるで会社に責任がないかのような対応にAさんはとても苦しみました。「私は“モノ”じゃない」とAさんはいいます。大けがを負って生活が苦しくなった人に他人事のような対応をする店長やピザーラに対して、Aさんは怒りの声を上げています。
シェアフルの労働者を差別視?
ピザーラではバイク経験のあるアルバイトには10時間ほどの走行研修があるのに対して、シェアフル経由の労働者には15分程度の動画(うち運転技術に関する内容は5分程度)を見せるだけで、走行研修はありません。この理由を店長は次のように説明しています。
「短期バイトが再びピザーラの配達業務に就くかどうかわからない。公募をかけた労働時間を全て研修に使っていたら募集をかけた意味がない。」
つまり会社側は労働時間だけを気にしており、労働者の安全を重要視していないことが伺えます。同じバイク経験のある労働者に対して、雇用形態の違いでこれほどの差をつけているのです。今回のAさんの事故はピザーラの安全管理にも起因しており、起こるべくして起こったと言えるでしょう。
事故にしっかりと向き合うように
私たちはピザーラに対して、本事故の責任を認めてAさんへの無責任な対応を謝罪するとともに、Aさんへの賠償責任をしっかりと果たすよう交渉していきます。今後ともみなさまのご支援とご協力をよろしくお願いします。
またAさんと同じように労災や労働問題などで悩みを抱えている方は、ぜひご相談ください。
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