内定取り消しをしたIT関連の会社に団体交渉を申し入れました!きちんと責任を取ってください!

活動報告

私たち仙台けやきユニオンは、仙台市内に本社があるIT関連の会社S社に団体交渉を申し入れました。今回申し入れたのは、この会社に入社しようとしたTさんです。詳細は下記のとおりです。

 

〇業績不振を理由に内定取り消しをされたTさん

Tさんは、2018年11月にS社の求人に応募しました。面接の際、「3ヶ月契約後、1年契約に更新、その後正社員になる予定。みんな(他の社員)も同じ経緯で正社員になっている」と言われました。その話を聞いて、TさんはS社で働く決心をしました。そして11月初旬、Tさんは無事内定をもらいました。勤務開始は1月初旬でした。

しかし会社はその後、12下旬、メールで突然、業績不振を理由に内定を取り消すと連絡してきました。Tさんは理由の詳細を会社に問い合わせたところ、直近の売り上げが下がっていることを示す資料を開示してきましたが、例えば1年を通じて赤字なのかなど、会社が本当に赤字で採用を取り消さなければならない事情はわかりませんでした。なお、会社は現在も求人は出し続けています。

今回の内定取り消しの結果、Tさんが受けた損害は大きいものです。TさんはS社に入社するために前社を辞めており、現在無職となっています。Aさんは、現在貯金を取り崩して生活せざるを得ず、再就職先を新たに探さなければならなくなっています。

 

〇「内定取り消し」は法律上の「解雇」と同じ。今回の場合は不当解雇と考えられる

企業が採用内定を通知してから、実際に働き始める前に、これを取り消す「内定取消し」は、会社から一方的に関係を破棄されるという意味においては「解雇」と同様です。内定取り消しに関する法的な考え方は、以下のようになっています。

「採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的に認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる」(大日本印刷採用内定取消事件(昭和54年7月20日判決))

つまり、客観的に合理的な理由がなければ内定取り消しはできません。「会社が赤字だから」とかも、これが採用内定時にも容易に予測し得るような場合であれば、やはり正当な理由ではないと評価される可能性は十分にあります。詳しく説明しているHPがありますので、こちらもご覧ください(「内定取消しの理由と不当な取消しを受けた場合の対処法」)。

今回の場合S社は、入社が決まったあとしばらくして、仕事の開始直前に業績不振で内定取り消しを行ってきました。会社が言う「業績不振」は、直近数か月間の売り上げの下降のようで、それは採用前に十分予想できたはずです。これだけだと、内定取り消しをせざるを得ないほどの赤字なのかもわかりません。今回の件は、これまでの判例等に照らしてみれば、内定取り消しは合理的な理由があったとは言えず、不当解雇と言えるとユニオンは考えています。

 

〇会社は内定取り消しをした事実は認めている。そうであれば、きちんと責任を取ってほしい

S社は、Tさんの内定取り消しをした事実は認め、ひと月分の給料を払うとは言っています。しかし、これは、Tさんが、労働基準監督署に申告するという話をした後でした。その話をするまで、会社は自ら進んで払おうとしたわけではありません。そして、今回の内定取り消しの結果、Tさんが受けたひと月分ではすみません。正社員を見込まれて内定が出ていますので、その収入見込みがなくなったことを前提とした損害賠償を行うべきです。

また、今回のような不当解雇がまかり通るようでは、S社に現在も務めている職員や今後貴社に応募する労働者が安心して働ける環境になりません。Tさんは、職員全員が安心して働き続けることができるよう今回の問題を適切に解決し、S社に考えを改めてもらえるよう、労働組合に加盟して交渉しようと決意しました。

ユニオンはTさんとともに、Tさんの被害の回復と、今後の会社の改善のために頑張ります。応援よろしくお願いいたします。

 

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