外国人技能実習機構の「団結権侵害」に対する損害賠償請求事件で和解が成立しました

活動報告

2023年3月20日に、仙台けやきユニオンは認定法人外国人技能実習機構に対し、「団結権侵害」に対する損害賠償を求めて提訴しておりましたが、この度2024年10月31日に和解が成立しましたので、ご報告をいたします。写真は会見の様子。


事件の詳細は過去の記事をご覧ください。

「不当労働行為」の責任をとれ!外国人技能実習機構を提訴しました | 仙台けやきユニオン

〇和解の成立。実習機構が「団結権を脅かしかねない」と認め、賠償に応じた

裁判で争う中で、当ユニオンは最終的に技能実習機構と和解することにしました。機構が損害賠償を行うということになったからです。和解内容は下記になります。

「1 被告は、原告に対し、被告の職員が、原告組合員である外国人技能実習生らに対し、原告からの脱退を促すかのようなメールを送信して、団結権を脅かしかねない不適切な対応をとったことについて、遺憾の意を表する。」

「2 被告は、原告に対し、本件解決金として、70万円を支払う義務があることを認める。」

(その他は省略)

これは、技能実習機構が自らの行為を「団結権を脅かしかねない」認めたという、画期的な内容であり、勝利和解といってよい内容です。これまでも似たような事件は存在しましたが、実習生の直接の雇用先である使用者以外の団結権侵害行為は認定されてきませんでした。

参考:広島県労委平成30年(不)第3号 中亜国際協同組合外1社不当労働行為審査事件(概要情報)
神奈川県労委平成29年(不)第14号 塚越鉄筋工業等不当労働行為審査事件(概要情報)

そのような中、仙台けやきユニオンは、不当労働行為救済申し立てではなく、技能実習機構の行為が労働者の団結権(憲法28条)を侵害する「不法行為」であるとして、民事訴訟で責任を追及したわけですが、それが今回の結果につながったといえます。この結果が周知されていくことで、これまでの不当労働行為救済に限らない方法で問題が告発をされていくことにつながると思われます。

一方で、技能実習制度が育成就労制度に変わっても同様の問題が発生する可能性はあります。今回の訴訟の成果も踏まえて、引き続き労働組合などが現場で公的機関の監視も行っていく必要があると考えます。

〇当該の組合員のコメント

OTITにがっかりしていました。OTITが私にやったことは全然間違った。

今、にほんでほかの研修生が働いていますが、彼らは多くこまっているんです。

だから、OTITが自分のやったことのついて反省ことがほしい。

ちゃんとしてください。

(ベトナム人元技能実習生(現 特定技能)のコメント(30代女性、石巻在住)

 

〇相談会の実施

以上のような事件に限らず、技能実習生に対する労働問題は今も頻発しています。国の発表(厚労省報道資料2023年8月1日:「外国人技能実習生の実習実施者に対する令和4年の監督指導、送検等の状況を公表します」)によると、「労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、監督指導を実施した9,829事業場(実習実施者)のうち7,247事業場(73.7%)。

主な違反事項は、(1)使用する機械等の安全基準(23.7%)、(2)割増賃金の支払(16.9%)、(3)健康診断結果についての医師等からの意見聴取(16.1%)の順に多かった。」とある。実に7割を超える事業所で、最低基準である労働基準法などが守られていません。

そのような方たちから相談を受け、権利行使を支え被害を回復し、労働環境を改善していくために、私たち仙台けやきユニオンは食料支援付きの相談会および無料労働相談ホットラインを実施します。お困りの方は是非ご相談ください。また、技能実習生本人ではなくとも、周囲の労働問題で困っている技能実習生がいる方は、ぜひこの相談会やホットラインを紹介していただければと思います。

日時:11月3日(日)

・移民労働者向けフードパントリー・相談会
→時間:13時30分~17時
→場所:渡波公民館 会議室(石巻市渡波町二丁目6-31)
→費用は無料。必要な人には1週間分の食料も配布

・移民労働者のための無料労働相談ホットライン
→時間:13時~17時
→番号:0120-333-774(フリーダイヤル。相談無料・秘密厳守)

【11/3(日)】移民労働者向けフードパントリー・相談会・無料相談ホットラインを実施します!@石巻 – NPO法人POSSE仙台支部

〇メディア報道

国の機関が「実習生」への違法行為に関与 ついに機構側が問題を認めて和解へ(今野晴貴) – エキスパート – Yahoo!ニュース(2024/10/31)

“労組脱退促すようなメール” 技能実習機構と労組 和解成立|NHK 宮城のニュース(2024/10/31)

仙台地裁で外国人技能実習機構が労組と和解 実習生への脱退要求を謝罪 | 河北新報オンライン(2024/10/31)

外国人機構と労組和解、実習生に不適切対応 – NNA ASIA・ベトナム・社会(2024/10/31)

他、朝日新聞、読売新聞にも11月1日の紙面で掲載

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