私たち仙台けやきユニオンは、仙台にいくつも店舗を構える、中華料理屋のA社に対し、団体交渉を申し入れました。事案の詳細をご紹介します。
〇何年もA社で働くも、コロナ禍で守ってくれない会社。生活困窮に陥る
今回A社に対し申し入れを行った組合員は、ベトナム人留学生である二人の組合員です。二人は、専門学校に通いながら、2019年よりA社で働いていていました。その後、コロナ禍に入った2020年4月以降、シフトが少なくなっていき、2021年に入ると収入は急激に落ち込みました。これまでは毎週４日、ホール係、調理補助係として仕事をしてきましたが、2020年5月には仕事は休業になりました。その際、適切な休業手当は支払われず、従業員らそれぞれに１万円を支給するのみでした。休んだ日相当の休業手当には全く足りません。また、2020年12月以降は、現場の運営を３人から２人に減らし、また1日のシフトの時間も減ることがありました。そのことについても、休業手当は支払われていません。その結果、組合員らは生活困窮に陥り、フードバンク仙台に食糧支援を依頼するという事態に陥ってしまいました。
〇フードバンク仙台を経由して仙台けやきユニオンへ。自分で休業手当を請求するも、会社は拒否
フードバンク仙台に支援依頼をした組合員は、その後、困窮状態の解決のために仙台けやきユニオンに相談に訪れました。そこで、本来は休業手当を請求できることを知ったため、組合員らはユニオンに頼る前に、自分で会社に請求しました。しかし、会社は支払いを拒否しました。休業手当どころか、国に申請する休業支援金の手続きすら拒否するという、とてもひどい対応でした。そのことに怒った組合員らは、仙台けやきユニオンに加盟し、会社に休業手当を請求することにしました。
〇社長は雇用調整助成金のことを知らない？制度が機能しない現場の実情
組合員にとって、会社に対して声を上げることは怖いことでしたが、組合員らのサポートの元、申し入れを実現することができました。申し入れの際、社長が出てきたので話すことができました。その際、社長は、「シフトを調整するのは店ができることではないのか」「雇用調整助成金の申請はおたくらがやってくれるのか」などという話をしていました。雇用調整助成金の利用などはこれまでもしていないようでした。企業にとっても大きな損失なく休業手当を支払うことができる仕組みを国が用意しているにも関わらず、それが現場では使われていないのがよくわかるやりとりでした。飲食店などもコロナ禍で時短などを強いられ、経営が大変になることもあると思いますが、従業員は人間です。休業手当が支払われなければ、生活ができません。会社は、今回の申し入れを受けて、誠実に対応してもらいたいと思います。
〇生活を守るために、尊厳を守るために、立ち上がろう
今回の組合員たちを含め、私たちの組合に相談をしてくる外国人の方たちは、みな生活に困窮しています。このままでは、留学生は学費が払えなくなり、退学になってしまう危険性があります。退学になると、在留資格の喪失につながるからです。借金を抱えながら日本に来ている人も多く、借金だけを抱えて母国に帰らざるを得ない可能性があり、留学生らへの支援は急務です。
また、外国人の方たちは、とても理不尽な状況におかれており、日本人には手当が出るけど外国人には出ない、外国人だけシフトがない、解雇の理由も告げられずにシフトをいれられなくなった、などなどです。このような状況に対し、被害にあった人たちは、とても怒っています。しかし、どのように権利を行使できるのかがわからず、泣き寝入りしている人たちが多いと思います。
私たちユニオンにつながれば、たとえ言語の壁があっても、できる限りのサポートを行い、権利の行使をサポートできます。これまでも、何人も支援をしてきました。外国人労働者も仲間です。一緒に闘い、権利を守っていきます。困っている外国人の方たちは、ぜひ一度相談をしてみてください。また、これを見た日本人の方も、困っている外国人の方たちに伝えてください。一緒にこのコロナ禍の社会を生き抜いていきましょう。
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