仙台けやきユニオンは、大手中古車会社ビッグモーターに団体交渉を申し入れました。ユニオンに加盟して交渉を申しいれたEさんは、2017年11月、アシスタント(「営業フロント」)としてビッグモーターの泉支店へ入社しました。就職難である昨今ですが、Eさんは営業フロントの業務を約1年続ける中で、ようやく仕事の内容にも慣れ、定年まで安心して働いていけると思っていましたが、会社からの仕打ちに驚愕しました。
〇労働条件の不利益変更を迫られ、一方的に賃金が減らされる
2018年11月末、会社より突如「明日から営業フロントを廃止する。全国約120名の営業フロントは明日から営業職とする。」と労働条件変更の通知がなされました。しかし、Eさんは、営業職への急な労働条件変更を受け入れることは出来ませんでした。営業職になれば、営業フロントと比べ給料は下がり、労働時間も営業フロントよりも残業が増え1日の拘束時間が11時間にも及び、休憩時間も15分程度しか取れないという、労働条件がより悪くなるからです。営業職における、劣悪な労働環境については、社内では「営業職ならそれが当たり前」という間違った価値観が蔓延していました。
Eさんが、どうしても営業職が出来ない場合はどうなるのか質問をすると、会社からは以下の3つの選択肢を提示されました。
- 登録事務スタッフへの異動
※実際は空きがなかった
- コールセンターへの異動
※コールセンターは関東と九州のみで、引っ越しが伴う。
- 自己都合退職
生活があるため、いきなり仕事を辞めることも出来ず、また他の選択肢(①〜②)も取ることが出来なかったEさんは翌日から営業職として勤務せざるを得ない状況となりました。とはいえ、給料が下がることには納得しておらず、金額が下がる契約書自体にはサインをしませんでしたが、結局は以前より金額が下がる営業職としての給料が支払われました。一方的で、違法な賃金引下げ(不利益変更)でした。
〇適切な説明もない、強引な職種の変更でした
今回の職種の変更は、とても強引なものでした。会社より受けた営業フロント廃止の経緯は、「業績が昨年比より悪く、この原因を営業職の人員不足によるものと考え、営業職の増員の為に急遽120名余の営業フロントを本日で廃止し明日から現在の所属店で営業職に変更する。」というもので、突然な変更でした。そして、「この件について質問などがあれば、直接部長か営業フロントリーダーへ連絡を下さい」と指示があった為、Eさんは「この度の経緯などを口頭だけではなく書面や社内のグループウェア内で通知するなどして欲しい」と営業フロントリーダーへ要望を上げましたが、その後幾度か確認するも全く取り合ってもらえず、それどころか会社からは営業職への労働条件変更契約書のサインを何度も迫られました。結論ありきの、とても強引なやり方でした。
〇ノーマルタイヤの車両で積雪地域に出張査定に行かせる劣悪な社内モラル
他にも、劣悪な労働環境の問題があります。それは、従業員の安全を考えない社用車の運用です。客への貸し出しや営業職員の出張査定に使う社用車があるのですが、営業職員が社有車で万が一事故を起こしてしまった際、社内ルールとして「ドライブレコーダーが作動していない限りは自費での車両修理となる」と決まっていました。しかし、これらの社有車の中にはドライブレコーダー未搭載車や、冬季になってもスタッドレスタイヤが装着されていない車両がありました。これは、貸し出される客や出張査定を行う営業職員の事故リスクを上げるだけではなく、営業職員にとっては出張査定をすればするほど、事故費用負担のリスクを負う事となります。
2018年12月にEさんは、所属店舗の店長より積雪地域(岩手県一関市)への出張査定を命じられました。その日は、前日に大雪が降り、社内では所属店舗の営業職員が車両全損となる規模の交通事故に遭っていたり、命じられた出張査定先方面の店舗でも事故報告が上がっていたりしました。実際にEさんの所属店舗の営業職員が出張査定時に衝突事故を起こした際には、その時に使用していた社有車の修理費として20万円程自費で清算しているそうです。この修理費は本来は「営業活動によって発生した修繕費(経費)」であり、本来会社が負担するべきものですが、それを従業員負担にするとなると、このリスクを負って出張査定に行くのは従業員にとっては恐怖です。
当然Eさんは、事故のリスクや万一事故を起こした際の経済リスクを考え、「ドライブレコーダー搭載&スタッドレスタイヤ装着」の車両で行く事を希望しましたが、どちらか一方しか満たしていない車両しかなく、店長に相談するも早く選んで直ぐに査定に向かうよう促されました。どちらを選んでも大きなリスクがある為、Eさんは査定に行く事を拒んだところ、所属店舗の店長は机を叩く等をし、露骨に不機嫌な態度をとりました。
本来であれば、店長は従業員の安全を第一に考えなければならないはずですが、店長の態度は、危険な仕事を拒む従業員に対するパワハラでした。このような、従業員の事を全く考えていない劣悪な労働環境に対し、ユニオンは反省と改善を求めたいと思います。
○労働法を逸脱している労働環境
他にも、下記のような問題がありました。
- 有給休暇の取得について
労働基準法では有給休暇の取得に理由は不要となっていますが、有給休暇の取得を所属店舗の店長に打診した所、理由いかんでは取得させない運用となっていました。
- 休憩時間の取得について
営業職の休憩時間は労働条件契約書では1日90分となっていましたが、実際には15分程度の食事の時間しか与えられていませんでした。
- パワーハラスメントについて
若手社員に対して、所属店店長は「おい!サル!」等と尊厳を無視した呼び方をしていました。周りで聞いているEさんも非常に不快な想いをしました。
○ビッグモーターに改善を求めます!
以上のような問題を是正し、違法行為の無い職場になるよう、改善を求めて団体交渉を求めています。
会社全体の労働環境の維持・改善のため、今後も取り組みを続けて参ります。
ご支援よろしくお願い致します。
その後の経過
ビッグモーターがパワハラ問題や労働基準法違反の事実を認め、謝罪と今後の改善を約束しました。しかし不利益変更については一向に認めません。
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