宮城県の会社の裁量労働制を撤回させ、残業代相当額を支払わせました。

宮城県内の建設関連会社で現場の調査関係の仕事をしていたAさんが、仙台けやきユニオン（総合サポートユニオン仙台支部）に加入し未払い残業代の支払いなどを求めて会社と団体交渉を行っていましたが、今回解決に至りましたので報告します。

Aさんの仕事は繁忙期には非常に長時間になりました。例えば２０２１年９月から１２月にかけて、それぞれ９９時間、１１０時間、８７時間、９６時間(就業時間は7時間)の残業が発生しています。

これほど長時間労働をしながらも、Aさんには専門業務型裁量労働制が適用されており、この間裁量労働手当月57000円(30時間分の残業代に相当)以外には残業代が一切支払われていませんでした。Aさんは勤務を続ける中で心身の調子を崩し、医者からうつ状態と診断され、今年10月まで休職を余儀なくされてしまいます。

Ａさんには労働時間を自由に自分で決められるほどの十分な裁量があるとは言えず、これは裁量労働制の趣旨に反しており、不適切だと考え、Aさんは未払い残業代を会社に請求しました。

会社は当初Ａさんに対し残業代等を支払う代わりにすぐに会社を辞めて欲しいと告げました。

そのとき提示された金額がＡさんが求める水準よりも低かったこと、また突然会社を辞めさせられそうになっていることに不安を感じたＡさんはユニオンに加入することを決め、会社と団体交渉を行いました。

◆二回の団体交渉で残業代を支払わせ、円満解決へ！

最終的に二回の団体交渉を通して当初会社が提示していたものよりも高い金額で過去2年間分の残業代を支払いました。また、長時間労働によって体調を崩したことに対しても納得できる内容の和解が成立し、円満解決となりました。

当初自分ひとりで残業代を請求しても問題解決につながらなかったＡさんが円満解決できたのは、ユニオンに加入し仲間と一緒に会社と団体交渉を行ったことの成果です。同じような状況にある裁量労働制や働き方に疑問を持っている方は、ぜひユニオンにご相談ください。

◆組合員Aさんからのメッセージ

この度、会社との労使紛争で和解が成立し、円満解決することができました。

どのような問題もそうだと思いますが、こう言った問題は誰かが声を上げなければ変える事が出来ません。そして、一人で交渉している間はトラブルもありましたが、ユニオンに入ってからは誰かがついていてくれる安心感、信頼感があり、精神的に不調でも解決することができました。泣き寝入りせず、解決まで漕ぎ着けるためにも、ユニオンの皆さんと協力することをお勧めします。

最後に、応援してくださった皆様方、本当にありがとうございました。

この場を借りて、心より感謝申し上げます。

◆裁量労働制の相談の解決パターンと解決例

裁量がない裁量労働制の場合には、次のような解決方法があり得ます。

（１）過去の裁量労働制が違法であったとして、裁量労働制の適用を認めず、さかのぼって残業代を支払わせる。長時間労働のために精神疾患になった場合は労災保険を支給させたうえ、会社に慰謝料を請求する。

（２）今後は裁量労働制を適用せず、残業代を払うようにさせ、際限のない長時間残業をやめさせる

（３）裁量労働制を制度の趣旨に則って運用させ、出勤時間や退勤時間はもちろんのこと、仕事の進め方についても自由な働き方を実現させる

裁量労働制ユニオンの主な解決事例については、下記をご参照ください。https://note.com/sguion/m/m916ae091ddd9

https://digital.asahi.com/articles/ASM5G6H35M5GULFA047.html

https://www.bengo4.com/c_5/n_11378/

◆労働相談や共に活動するボランティアの募集

職場で労働問題を抱えている方は以下の私たちの相談窓口まで電話・メールにてご相談ください。無料対応・秘密厳守で対応しています。一緒に違法・不当な状況に対して声を上げてみませんか？