仙台けやきユニオンは、東京都に本社がある大手中古車会社ビッグモーターの、不当な配置転換などについて団体交渉をしていますが、進展がありましたのでご報告いたします。
事案の詳細についてはこちら
ビッグモーターがパワハラ問題や労働基準法違反の事実を認め、謝罪と今後の改善を約束しました。しかし不利益変更については一向に認めません。
〇不当な配置転換については認めず、労働者の状況を全く無視した回答
会社の主張は、「配置転換に合理性があったから不利益変更ではない」というものでした。
しかし改めてここに、全国約120名余の営業フロント職を営業職に変更した理由として会社が主張した内容を纏めてみます。
- 営業の人員が不足しており、協力頂きたい為
- 営業が無理な人には他の職種の紹介も行い配慮した
- 営業職へ変わると給与が上がる為、そもそも不利益ではない
- 営業フロント廃止がそもそもの目的の一つ
会社はこのように主張して来ましたが、この配転命令の考え方や根拠には、会社本位の、労働者にとって理解しがたいものでした。具体的には、以下の点がおかしいと思います。
- 営業の人員不足解消を目的とした配転命令の対象が営業フロントのみである事(他の職種(例えば経理など)でも良かったのでは?)
- 「他の職種の紹介も行った」とあるが、実際には『引っ越しが伴う職種変更』以外の選択肢は選べなかった事
- 「営業職へ変わると給与が上がる」という説明だが、実際は営業の成果が反映されるインセンティブが支払われないと減給となる事
- 営業フロント職と営業職の働き方は、出張査定の有無の違いや拘束時間の違い等、様々な部分で大きく違うのにも関わらず全く考慮されていない
- 引っ越しを伴う配置転換を、翌日から命ずる事について企業として問題ないと思っている事
- 給与体系がどうなるかについて具体的説明を行っていない事
以上のような点を団体交渉でも指摘しましたが、こちらがどれだけ主張しても、会社として「翌日からの配置転換を突然命じるのは問題ない」「引っ越しが伴う配置転換でも事前に打診なく命じるのも問題ない」と主張し、職種転換にも理由があるとして、あくまで合理性はあると主張してきました。給与についても、営業職になると営業フロントと比べ基本賃金が下がる事を知っていたにも関わらず「営業職の平均所得が営業フロントの平均所得より高い」という理由だけで不利益ではないと主張してきました。労働者の生活に大きな影響を与える配置転換なのに、この開き直りはとても不誠実と考えます。また、いずれにしても、「明日から営業フロントを撤廃し、営業職に変更します」と突然通知を行うことは、非常に乱暴である事には変わりはありません。
ユニオンでは、この問題について引き続き、不当な配置転換であり、不利益変更であると主張し慰謝料を求めていきます。
〇営業フロントを全国一斉廃止したのに現在募集している!?
さらにおかしなことは、11月30日の突然の会社の決定により営業フロントを撤廃したはずが、公式HP上で営業フロントの中途採用募集が未だされていることです。4月月4日の第一回団体交渉時点でもそうでしたが、現在においても掲載されています。その他転職サイトにも同様に募集がなされています。
会社の急な意向と決定で、Eさんを初めとする全国120名余の人が営業フロント職からの変更を余儀なくされたにも関わらず、今現在営業フロントの新規募集がなされています。会社はこの度の配転命令について合理性があると主張していますが、わざわざ望んでいない業務に配転命令された多くの方がいる一方で、営業フロントの新規募集を行っている事は大いに合理性に欠けると言えます。
この事に対して会社の説明は「現在、新しい職種として保険カウンセラーというものを作った。後にそちらへの異動を前提に採用をしている」というものであった。これがもし本当であれば、「営業フロント業務を表向きとした保険カウンセラーの募集」という求人詐欺と言えるでしょう。
なお、ユニオンで交渉を申し入れたのは2月7日でしたが、その日以降に掲載開始した求人も「営業フロント職」で募集しています(見にくいですが、下記の写真は3月28日~4月10日が掲載期間です)。
営業フロント ◎未経験スタート社員がほとんど、車への興味は一切必要なし!◎全国150名採用
→こちらはの掲載期間は4月25日~5月8日です。
〇ユニオンで解決した内容
・未使用の親睦会費について返金を約束
当事者のEさんは、給与から親睦会費として毎月2,000円が控除されておりました。しかしEさんは、親睦会には在職中に2回しか参加しておらず、未使用分の親睦会費の返金を求めておりました。団体交渉により、会社は親睦会費の未使用分があることを認め、返金を約束致しました。
・営業職携帯電話使用料と解約金の返金について進展
会社が貸与している携帯電話の使用料が毎月給与から控除されておりましたが、本来携帯電話使用料は経費であり個人負担するべきものではありません。当該主張と、私的利用は一切ないことを伝えたところ、会社は携帯電話使用料について全額返金の約束を致しました。
・労働基準法違反の謝罪と是正について約束
Eさんの所属していた店舗では、有給休暇の取得にあたり「理由によっては取得できない」といった運用の労働基準法違反がありました。会社もその事実を認め、謝罪と今後の改善を約束致しました。
・「危険を伴う業務指示=パワハラ」の謝罪と、是正について約束
Eさんは、2018年12月、所属店舗の店長により積雪地域(岩手県一関市)への出張査定を命じられました。その日は、前日に大雪が降り、社内では所属店舗の営業職員が車両全損規模の交通事故に遭っていたり、命じられた出張査定方面の店舗でも事故報告が上がっていたりしました。
ビッグモーターでは営業職員が事故を起こした際に「整備不良車両だった場合(タイヤ交換未実施も含む)」や「ドライブレコーダーの記録がない場合」の損害は、すべて個人負担となる運用がなされています。その為Eさんは、事故の身体的リスクや万一事故を起こした際の経済リスクを考え「ドライブレコーダー搭載&スタッドレスタイヤ装着」の車両で行くことを希望しましたが、どちらか一方しか満たしていない車両しかなく、店長に相談するも早く選んですぐに査定に向かうよう促されました。しかし、どちらを選んでも大きなリスクがあるため、Eさんは査定に行くことを拒んだところ、所属店舗の店長は高圧的で露骨に不機嫌な態度をとりました。
この危険を伴う業務指示を、ユニオンはパワハラと考え、抗議しました。
またこの社有車は、お客様へ貸し出しする代車としても使われていることから、顧客へ危険車両を貸し出ししていた事にもなり、企業のモラル欠如とも言えます。
この件について、会社は事実を認め謝罪しました。
また、会社ではタイヤ交換の時期について指示をしているとのことでしたが、実際の運用ではそれが守られていないため、「時季に合わせたタイヤ交換の徹底」と「全車両にドライブレコーダー装着」の約束を取り付けました。
今後、危険車両での出張査定や、お客様へ危険車両の貸出しが行われないことへの徹底を求めます。
〇新しい組合員が増えました!ほかの被害者の方もご相談ください!
今回の営業フロントの急な廃止によって生活環境が大きく変わり、現在も在職中の方や既に退職された方で、同じように悔しい思いをした方はEさん以外にも沢山いるはずです。その中で、新たにユニオンに加入し交渉をする人も出てきています。
今回、親睦会費の返金の約束や、携帯電話使用料の一部返金などの進展がありました。他のビッグモーターで働いている人や退職した人には、同じような被害を受けている人もいると思います。ユニオンでは、その被害の回復をお手伝いできます。そして、会社を改善していくためには、多くの人の声が必要です。あなたの勇気ある一歩が、同じように悔しい思いをしている人々を救う一助となります。是非下記までご連絡ください。同じ被害にあった元従業員も一緒に相談に乗ります。お気軽にご連絡ください。
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