私たち仙台けやきユニオンは、東北互光株式会社に対し、組合員Xさんの職場復帰やハラスメントのない適切な労働環境などを求めて交渉を続けています。
先日、東北互光は労働基準監督署から、労働基準法違反で5つの正勧告を受けました。
その後、ハローワークの求人もすべて差し止められています。
今回は、そこに至るまでの経緯をご報告いたします。

※事案の詳細については、過去の記事をご覧ください。

〇東北互光の労働基準法違反について労基署へ申告した結果、東北互光は５つの是正勧告を受けました！

私たちは、仙台労働基準監督署に対し、東北互光の違法な労働実態を申告しました。

その結果東北互光は、2021年3月22日に仙台労働基準監督署長より、以下の５つの労働基準法違反で是正勧告を受けました。こちらは、組合員の申告内容の結果と、元従業員が申告した内容の結果であり、元従業員からは情報提供をいただきました。

①　時間外手当の不払い（労働基準法第37条違反）

➡東北互光は、元従業員に対し、タイムカード通り1分単位で時間外手当を支給しておらず、また、休憩時間にも仕事をさせていながら、賃金を支払いませんでした。組合員に対しても過去に同様のことを行っており、団体交渉の結果未払い賃金は支払われています。

②　賃金の不当な天引きによる不払い（労働基準法第24条違反）

➡東北互光は、賃金控除の無い賃金体系が賃金規定で定められている社員（今回は元従業員）の賃金を不当に天引きし、一部賃金の不払いが発生していました。

③　休憩時間を取らせていない（労働基準法第34条違反）

➡東北互光は、社員に対し休憩を適切に取らせていませんでした。自席で休憩を取る場合は、電話や来客の対応もさせています。業務量に対し人員が不足していますが、会社は業務量の調整や増員などはしてくれず、社員は休憩時間も仕事をせざるを得ませんでした。東北互光は社員に休憩取得を促さないばかりか、休憩を取りづらくなるような圧力をかけることもありました。

④　36協定書締結時の過半数代表者選任方法が違法（労働基準法第32条違反）

➡東北互光は、36協定届を締結する際の過半数代表者選任方法が違法でした。過半数代表者を選任する際には、投票、挙手などによりパートアルバイトを含めたすべての労働者が手続きに参加できるようにしなければなりません。使用者の意向によって選出したり、管理監督者に当たる者が代表者となることは違法です。

⑤　賃金台帳に総労働時間を記載していない（労働基準法第108条違反）

➡東北互光は、賃金台帳に記載しなければならない８つの項目のうち、総労働時間を記載していませんでした。東北互光が労働者一人ひとりの労働時間を把握し管理することを怠っている結果として、時間外手当の不支給にも繋がっているのだと思います。

また、係長以上の役職者に対して、実態としては管理監督者に該当しないにもかかわらず時間外手当を支給しておらず、不利益変更が発生している可能性が高いことについても別途指導を受けました。

東北互光はこれらの勧告について真摯に受け止め、違法な労働実態を是正してほしいと思います。

〇ハローワークに求人の差し止めを申し入れた結果、東北互光の求人票が全て非公開になりました！

上記の是正勧告を受けて、私たちはハローワーク仙台に対し、このような違法労働の横行している企業の求人は不受理・差し止めとするよう申し入れました。

東北互光のように労働者の正当な権利を侵害し、適切な労働環境を作る努力をしない会社の求人を求職者に紹介することは、更なる被害者を生んでしまう可能性があるからです。仙台市内の労働環境が脆弱にならないよう、継続して働き続けることのできる職場を紹介するべき、ということを申し入れ時には伝えました。

その結果、2021年3月30日の申し入れ時点には20件あまり公開されていた東北互光の求人票全てが差し止めとなり、以降に出された求人票も不受理とされることになりました。

同年4月1日に差し止めを確認し、現在も求人は非公開の状態です。

ハローワーク仙台としては、東北互光が労働基準法違反について是正したことを確認できるまで、求人票は公開しない意向との報告を受けています。