ベトナム人技能実習生が受けた労災被害に対する適切な補償を獲得!未払い賃金などもすべて解決できました

活動報告

私たち仙台けやきユニオンは、今年の2月より、ベトナム人技能実習生の組合員とともに、彼女らの会社で起きた労働問題の解決に取り組んできました。この度、解決に至ったので、ここに報告をいたします。

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退職強要の被害にあうベトナム人技能実習生。不当な扱いをやめさせるため、宮城県石巻市にある水産加工会社X社に対し団体交渉を申し入れました

外国人技能実習生機構が「不当労働行為」!?ベトナム人技能実習生らにおきた団結権の侵害に対して、外国人技能講習機構に申し入れを行いました。

「労組脱退」を示唆した外国人技能実習機構から回答がありました。対応が「不適切」と認めるも謝罪はせず。不誠実な対応に抗議します

〇事案の概要
20歳代から30歳代の技能実習生の3名は、生活のために2019年10月にベトナムから約100万円近くの借金を背負い、子供と夫など家族をベトナムにおいて来日し、宮城県石巻市の水産加工業者で外国人技能実習生として働いていましたが、就業中に様々な労働問題が発生していました。

まず、会社役員が大声で怒鳴るなどといったハラスメントは日常的に起こっていました。そのうえ、就業時間の8時以前から出勤し掃除や準備を行なうことが業務として命じられていましたが、それらに対する賃金を会社は支払っていませんでした。これは労働基準法違反に当たる可能性が高い状況でした。

さらに、Aさんは、機械での作業中に人差し指を切断する大怪我を負うという労災事故にも遭っています。商品を袋詰する機械が詰まってしまい、機械を止めずに手を入れて詰まりをとろうとしたところ、人差し指を切断してしまいました。Aさんのいる職場は、機械の操作に関する注意喚起について、実習生らの母国語では周知していない、職員が指導する際も日本語でのみ教えるなど、言語に不慣れな技能実習生に対する配慮は全くありませんでした。そのため、起きた事故でした。これは、機械を止めなかった労働者に責任があるのではなく、会社が危険防止の措置を講じなかった会社の責任です。実際に、労働基準監督署から会社に対し、労働安全衛生法20条違反等で是正勧告もだされています。会社は、Aさんに対し、労災は申請しその手続きは行いましたが、民事的な賠償を一部しか行っていませんでした。

そして、2022年2月、些細な「ミス」を理由に技能実習生の3人は退職を強要されました。そして結果的に、職場を追い出されてしまいました。これは不当解雇だと考えられます。

〇仙台けやきユニオンへの加入と交渉の成
これらのことについて、当事者であるAさんたちは、2月24日に仙台けやきユニオンに加盟し交渉を申し入れました。数回の団体交渉を重ねた結果、下記の成果を経て、8月末に和解にいたりました。

・働かせなかった日数についての賃金保障(それぞれ10万円程度)
・未払い賃金の支払い(それぞれ45万円程度)
・会社都合退職での退職‘
・パワハラについての慰謝料(それぞれ10万円程度)
・労災についての補償(Aさんに120万円程度)

〇外国人技能実習生が受けた労災に対する被害の回復という点で大きな成果

外国人労働者の労災被害は増え続けています。(参考:コンクリの「下敷き」になり死亡も 増え続ける「外国人労災」の実態とは?)

厚労省が発表する2021年の労働災害発生状況では、死傷者数(休業4日以上)では、すべての産業を合計した外国人労働者の死傷者数は5715人となっています。2020年の4682人や2019年の3928人と比較すると、毎年増えていることがわかります。

在留資格別では、労災の死傷者数が最も多いのは、定住者や永住者などが含まれる「身分に基づく在留資格」の2358人で全体の41.3%を占めています。続いて、「技能実習」の1912人(33.5%)、「専門的技術的分野の在留資格」の753人(13.2%)、「特定活動」の405人(7.1%)、留学生を含む「資格外活動」の275人(4.8%)となっています。技能実習生の労災被害は、外国人労働者の労災被害全体で見ても2番目に多いというのが実情です。

しかし、外国人労働者の労災の被害は適切に補償されることは少ないのが現実です。その背後には、会社が「労災を使うな」と労働者を脅して、実際は職場での事故や怪我であるにも関わらず「私傷病」として処理されてしまっているケース(「労災隠し」)が横行しているからです。

例えば、今年注目を浴びた岡山市の建設企業で働いていたベトナム人男性技能実習生のケースでは、2年以上職場の同僚から暴力を受け続けていたことに加えて、2020年5月には足場解体作業中に解体部品が男性の顔面を直撃して歯を折るという大怪我を負いましたが、会社側は男性に労災ではなく「自転車で転んだことにして」と伝え、また病院に同行して、団体に代わって日本語で医師に虚偽の説明をしたといいます(参考:読売新聞2022年5月6日 <上>「守る」仕組み作り 急務)。このような場合、損害に対する適切な治療や金銭的補償がなされないのです。

今回のAさんのケースは、労災は適用されていましたが、賃金保障や慰謝料、後遺障害に対する補償などは十分に支払われておりませんでした。

言語や日本の法律の理解などに難があり、また日本に来る際の借金や職場でのパワハラの横行などで会社側と直接交渉することが困難な状況にあることの多い技能実習生は、一人では問題を解決するのは困難です。監理団体も、会社側に加担し、技能実習生のサポートをしてくれるところは少ないです。ゆえに、「労災隠し」の被害にあいやすいといえます。

そこで重要になってくるのが、私たちのようなユニオンに相談につながることです。労働者の側に立って会社と交渉し、法律にも守られ、時には圧力手段も使って問題の解決を図ることのできる労働組合(ユニオン)に加入すれば、会社と対等に交渉し、適切な補償を勝ち取ることができます

今回のAさんの成果は、労災被害にあう多くの技能実習生にとってもよい事例になり、問題解決の選択肢が広がることになるでしょう。

お困りの外国人技能実習生の方本人や、周りで困っている外国人労働者の方がいれば、ぜひ当組合にご相談ください。一緒に、問題解決を行っていきましょう。

 

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