基礎地盤コンサルタンツの裁量労働制は無効!? 残業代の全額支払いを求めてユニオンで交渉中です!

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〇「裁量があるから労働時間を短くできる」制度のはずが……実際には100時間近くの残業で体を壊す

基礎地盤コンサルタンツ株式会社の東北支社に勤務するAさんが、仙台けやきユニオン(総合サポートユニオン仙台支部)に加入し、未払い残業代の支払いなどを求めて会社と団体交渉を行いました。

基礎地盤コンサルタンツ(株)は、道路・建物・ダムなどの建設工事のための事前に地質調査(建設予定地の地質を調査し分析する事業)を行う会社です。

Aさんは2019年4月に入社し、2年目から早くも裁量労働制を適用され、地質調査の「現場代理人」として現場でボーリング作業を請け負う下請業者間の調整、ボーリングコアの写真撮影、調査結果の分析などに従事していました。

調査は多くの場合、近くに利用できる道もないような山の中で行われます。Aさんは調査期間中は、調査現場に近接して設置された仮設の事務所で作業を行い、現場近くの宿泊施設で寝泊まりしながら、ボーリングコアの写真撮影、同業他社間の調整、データのとりまとめなどを行っていました。

仕事は繁忙期には非常に長時間の労働になります。例えば2021年9月から12月にかけて、それぞれ99時間、110時間、87時間、96時間の残業が発生しています。

これほど長時間労働をしながらも、Aさんには専門業務型裁量労働制が適用されており、30時間分の残業代に相当する裁量労働手当月57000円以外には残業代が一切支払われていませんでした。

専門業務型裁量労働制は「業務遂行の手段や時間配分などに関して使用者が具体的な指示をしない19の業務について、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使協定で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度」とされています。

しかし、Aさんには労働時間を自由に自分で決められるほどの十分な裁量があるとは言えず、特に長期の現場作業では裁量などないに等しい状態でした。これは裁量労働制の趣旨に反しており、不適切だと言えます。

現場作業に従事していた間は早出・遅帰りが常態化しており、当然のように残業時間が膨れ上がりました。会社側に状況を訴えたところ、人員1人を増やすことで対応されましたが、それでも労働時間が大幅に是正されることはありませんでした。最終的にAさんは過酷な勤務を続ける中で心身の調子を崩し、医者からうつ状態と診断され、今年10月まで休職を余儀なくされてしまいます。

〇業務内容も労使協定も不適切

「専門業務型裁量労働制」は、①その業務が法令が定める19業務に当てはまる場合に限り、②事業場の過半数労働組合又は過半数代表者との労使協定を締結することで、適法に導入することができます。Aさんに適用されていた裁量労働制は、それぞれ以下の点にも問題がありました。

 

①業務内容について

会社はAさんを「新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務」(以下、新技術の研究開発)に当てはまるとしていました。

しかしこの地質調査業務は「自然科学の知識」を元にしたものではありますが、新商品や新技術を生み出すものではありませんし、何か新しい科学的発見を目的とするものでもありません。また、その調査結果を学会や論文誌等で発表することも基本的にありません。地震に伴う国から依頼された調査の結果を事例として論文発表を行ったことはありましたが、非常に稀なケースです。

 

②労使協定について

会社は、「前回の東北支社における裁量労働制の労使協定締結時は組合の人数は過半数ではなかったが、企業内組合の代表者であるB氏を労働者代表とし、その際に不信任投票を実施し、その結果信任多数となったためB氏と労使協定を締結した」と主張していました。

しかし、前回の労使協定締結時に職場の労働者代表についての信任投票や不信任投票が実施された記憶はAさんにはありませんでした。念のためメールやLINEや文書等で通知が来ていないか履歴を調べましたが、そうしたものはありませんでした。

実はAさんが2022年3月に東北支社の部長に電話で労使協定について問い合わせたときには、労働者代表は当時の組合の代表者にサインをお願いした、話し合いや投票などを行って代表者を決めたわけではない、という旨の説明を受けていました。

Aさんは同僚にも話を聞きましたが、労働者代表の選出について覚えているという回答は得られていません。

この2点から、Aさんに適用されていた専門業務型裁量労働制は無効であったといえます。

 

〇団体交渉の結果、会社は残業代を支払う用意があると回答

休職に入ってAさんは自分に適用されている裁量労働制は無効であると考え、会社に未払い残業代を請求しました。すると会社はAさんと東北支社および本社の部長との面談を設定し、その場で会社が運用している裁量労働制は合法だと説明しました。その際、社長宛ての請求書は社長には渡さず本部長が預かっておくと言われ、請求は有耶無耶にされそうになりました。

最終的にAさんはこのままでは残業代をきちんと支払ってもらえないと考え、会社の外にある一人から入れる労働組合である仙台けやきユニオンに加入し、会社に団体交渉を申し入れました。

6月に行われた一回目の団体交渉では、裁量労働制の実態や手続きの不備について追及しました。組合からの、対象業務にAさんの働き方は当てはまっていないのではないかという質問に対して、会社から具体的な業務実態に即した説明は一切ありませんでした。

また労働者代表の選出について、会社は、労使協定締結時の支社長が当時社員全員に対して「Bさんが労働者代表で異存がないか」と声かけを行い、特に異論がでなかったためB氏を労働者代表としたと説明しました。これはAさんが3月に東北支社の部長からきいた話とは異なっています。

そこで、いつ・どのような場で支社長が労働者代表選出の声掛けを行ったのか質問しても会社側は一切具体的に説明ができず、どうして選出を行ったことを確認したのかという質問に対しても、会社は本社から支社長に労働者代表を選出するように毎回指示していたのでやっていたはずである(実際にやったかどうかを確かめたわけではない)と繰り返すばかりでした。

このように、会社側の裁量労働制についての説明は到底納得できるものではありません。

しかし、会社は団交の中で、Aさんについては2年前の適用開始時までさかのぼって裁量労働制が無効であったという扱いにし、残業代を支払う用意はあると回答しました。

これは労働組合に加入して交渉した大きな成果です。ただし、会社が回答した金額は現時点ではAさんの求める金額と大きな隔たりがあります。私たちは問題が完全に解決するまで、引き続き交渉を続けていきます。

 

〇他の社員の残業代はきちんと支払われるのか?

裁量労働制が無効になれば、裁量労働制が適用されていたすべての社員に対して過去にさかのぼって残業代を支払う法的な義務が会社には発生します。

また、この会社では裁量労働制が適用されない入社1年目には残業時間の上限が25時間までとされ、それを超えた時間の残業代は一切支払われていませんでした。これも労働基準法違反なので、会社が決めた時間を超過した残業代は全額請求可能です。

もし基礎地盤コンサルタンツに勤める方で残業代を全くあるいは一部しか払ってもらえていないという方がいれば、Aさんと同様仙台けやきユニオンに加入し会社に全額の支払いを求めることができます。

 

Aさんのケースに限らず、他の会社でも、会社が残業代の支払いを回避しようとして裁量労働制を悪用するケースが後を絶ちません。しかし、実際には労働者に十分な裁量がなかったり、働き方が対象業務に当てはまらなかったり、導入の手続きが杜撰であれば、その裁量労働制は違法です。

会社から「裁量労働制だから残業代を払わなくても問題ない」と説明されても、鵜呑みにせず声を上げることで、裁量労働制の無効、未払い残業代の支払い、労働時間を自分で管理できる実際の裁量の付与などを実現できる可能性があります。同じ様な働き方をする方、裁量労働制に疑問を持っている方はぜひお気軽にユニオンにご相談ください。

 

 

(参考)「裁量労働制Q&A」 裁量労働制ユニオン 

裁量労働制Q&A – 裁量労働制ユニオン

 

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